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2009年6月

もはや「マネー資本主義」(NHKスペシャル)は止まらない???。

 世界的にも日本でも「景気底打ち」が宣伝されている。一部で心配されていた資本主義の崩壊には至らず踏みとどまった。これからは上昇していくばかりだ。というわけで世界や日本の株価も上昇し始めている。

 そうした中で原油価格が再び上昇し始めている。25日のニューヨーク市場では終値で1バレル70.23ドルをつけた(6/26/NIKKEI NET)。「景気底打ち」から上昇を見越して「マネー」が動いていることは明らかだろう。

 昨年のバブル崩壊前、原油価格がとんとん拍子で上がっていく頃、1バレル70ドル台を記録した時には大騒ぎしたものだが、100ドルを大幅に突破するという経験をした今、この程度では騒ぎにもならない。

 しかし「トラック用の軽油や、工場・漁船に使うA重油、発電用のC重油など産業用燃料の業者間取引(スポット)価格がじわり反発に転じ」「3月から上昇基調が続いており、軽油や重油は直近の底値から2~6割上昇」したのだという(6/27/NIKKEI NET)。「景気低迷で収益が悪化している企業や運送会社、漁業関係者にはコスト増の重し」になっているのだという(NIKKEI 前同)。

 利潤の追求と獲得が原動力となって社会が発展し、身近な生活が豊かになっていく。格差はあっても歴史的にはそうなってきた。しかし“究極”の利潤追求・獲得社会である「マネー資本主義」(NHKスペシャル)は利潤を追求・獲得しつつ、社会を崩壊へと導いていく。それが「マネー資本主義」である以上、その連鎖は断ち切れないのではないか???。(2009/6/27/No.154)

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景気回復は、まず期待を持たせることから始めるべし、だったのだが。

 政府は、6月の月例経済報告で、景気の基調判断を2カ月連続で上方修正し、7カ月ぶりに「悪化」の表現を削除した。(6/17/NIKKEI NET)。

 悪化していないということは下げ止まったということだ。その意味するところはなんだろうと思う。

 一つには総選挙を前にして「100年に1度の金融=経済危機」と言われる中で資本主義の限界説などがささやかれているが、そんなものは一部の者が騒いでいるに過ぎないということを表明しているのだと思う。資本主義は現在においても人々にそれなりの生活を保障している。今現在でも贅沢な生活ができる人々はたくさんいるし、贅沢をしなければなんとか生活できる人もたくさんいるといわけだ。

 そして次には下げ止まったのだからあとは上がっていくだけだということの表明だろうと思う。それに答えてということだろうか「11日の東京株式市場は、景気の底打ちに対する期待感を背景に値上がりする銘柄が目立ち、日経平均株価は、取り引き時間中としてはおよそ8か月ぶりに、一時、1万円台を回復し」た(6/11/17:15/NHK HP) 。

 「エコポイント」がもらえる薄型テレビの販売台数が、今月に入って去年の同じ時期と比べて60%を超える高い伸びを示しているのだという(6/11/6:14/NHK HP)。

 エコカーを買えば補助金が出るという政策にも期待が集まっているらしい。しかし高速道路の休日1,000円といい、“お得感”のあるものだけに集中しているきらいがあるのではないか。前述の薄型テレビにしても「BCNの道越一郎シニアアナリストは『エコポイントの制度は、薄型テレビの販売には一定の効果があると思う。しかし、テレビの価格が下がっているため、電機メーカー各社は販売台数が増えても売り上げは伸びず、利益がでにくい状況に変わりがない』と」言う(NHK 前同)。やはり“お得感”なしにはなかなか購買意欲がわかないということではないのか。

 それに対して“お得感”のない業界はどうなのか。新型インフルエンザの影響を受けたこともあって「5月の東海道新幹線の1日あたり平均乗客数が前年同月比15%減少」「減少率はJR発足以来最大」「乗客減は昨年11月以来、7カ月連続」「景気悪化でビジネス客の出張利用が減ったほか、新型インフルエンザの感染拡大」(6/16/NIKKEI NET)。

 「4月の主要旅行会社62社の取扱額は、前年同月比14.5%減」「前年実績割れは9カ月連続」「減少率はイラク戦争や重症急性呼吸器症候群(SARS)の影響などで落ち込んだ2003年6月の19.4%以来の大きさ」「景気後退を受け、国内、海外とも落ち込んだ」(6/12/NIKKEI NET)

 「JTBなど旅行大手の7、8月の予約は国内、海外とも前年同月比2ケタ減」「苦戦する都市ホテルでは夏の宿泊プランの値引き合戦が始まっている」(6/12/NIKKEI NET)。

 旅行関係だけを並べてみたが、これ以外にも百貨店やスーパーの売上高も低迷している。今の時代、あれもこれも消費が拡大するという時代ではないのではないか。あちらが増えればこちらが減る。こちらが増えればあちらが減るという一種の玉突き現象があるのではないか。

 期待だけではなかなか思うようにはいかないものだ。日経平均株価は1万円台という面で見ればあっという間に“撤退した”。

 そもそも景気の下げ止まりに“貢献”したとされる生産の下げ止まり、回復とはなんなのか。世界的な不況で物が売れないので生産を削減して在庫の一掃に努めた。そのために工場の閉鎖や一時休止、派遣・期間工の解雇等々の犠牲が出た。結果として在庫は削減された。在庫が一掃されたのでそろそろ生産を再開させようかというのが生産の下げ止まり、回復という現象ではないのか。しかしバブル当時の需要は当然ない。生産の再開は必ずしも売れるという保障つきのものではない。従って雇用も増えない。

 「架空の需要」をつくり上げて売りまくったバブルの時代は終わった。今また株価が上がる、債権が上がる、原油が上がる、穀物が上がる等々のキャピタルゲイン(値上がり益)の再来がなければ実需に頼るしかない。実需となれば雇用の安定、商売の安定、老後の安心等の実感がなければ全体的な消費の活性化は見込めないだろう。実感ではなく期待でカネを使わせる、それが今の政府の手法ではないか。カネを使わせれば景気が上向くという論理で。しかしとりあえず“カネ余り族”が飛びついてみたもののその“カネ余り族”もようす見になってきた。(2009/6/21/N0.153)

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自民党内から「大政奉還」の声。幕末、下級武士が目覚め、時代を動かしたということは?

 鳩山邦夫前総務相の辞任(更迭)後の各報道機関の世論調査で麻生内閣の支持率が急落しているようだ。麻生首相の立場がいっそう揺らぐのではないかとの観測がもっぱらだ。

 そうした中で自民党内から「大政奉還」とい発言が飛び出した。古川禎久環境政務官が自民党代議士会で、「今回の鳩山政変で我が党は決定的に国民の信を失った」と批判したうえで「大政奉還を決断して保守政党の原点に戻るべきだ」と発言した(6/16/NIKKEI NET)。 

 「大政奉還」とは幕末の話。麻生首相の先祖に関係した話だ。麻生首相の母方の祖父が吉田茂元首相だということはけっこう知られている。しかしその祖母の方の祖父が明治の元勲大久保利通だということ(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)はあまり知られていないのではないか。自分も知らなかった。

 その大久保利通は薩摩藩の下級武士だった。同僚の西郷隆盛も同じく薩摩藩の下級武士だった。それらの人々が幕末の日本の歴史を変えた。なぜだろうかと思う。

 一つには薩摩藩が鎖国の時代に当時の琉球などを通じて外の世界を見ていたということがあっただろう。しかしそれは上級武士だって同じこと。

 問題意識の違いではないだろうか。上級武士というのはその時代においてそれなりの地位とそれなりの収入を得ているわけだからその時代を守ればそれでいいわけで、世の中これでいいのかという問題意識が出なかった。それに対して下級武士からは世の中このままでいいのかという問題意識が出た。出発点としてはその違いだろう。

 ひるがえって今の時代、同じことが言えるだろう。今の世の中が続くことがいいことだと思っている人々からは世の中このままでいいのかという問題意識は出てこない。このままでいいのだからいかに守るかという意識しか出てこない。

 21世紀に入って最初のこのままでいいのかという問題意識は民営大企業集団の側から出てきた。「規制緩和」「構造改革」「民営化」等々だ。当時の時代においてそれなりの地位と収入を得ている階層ではあったが、こんなもんではとても十分ではないという問題意識からだ。 

 しかし昨年のリーマンショック以来の「100年に1度の金融(経済)危機」は幅広い国民階層の中に急速に問題意識が芽生えた。

 しかし一口に問題意識といってもそれ自体に幅がある。たとえば安全保障・アメリカとの関係、憲法問題の関係、政治資金・大企業集団との関係、どれをとっても自民党とさほど違いがない(違いがないから?)民主党に対してとりあえず政権交代をさせてみようという問題意識から「ルールある経済社会」をと主張して大企業集団の横暴を抑えようという共産党を支持してみようという問題意識までという具合だ。

 問題は現時点での社会状況がどういう状態でそこからでてくる問題意識がどういう水準にあるのかによって日本の世の中が緩やかに変化するのか急速に変化するのかが決まってくるだろう。

 幕末においても徳川幕府の処遇をめぐって緩やかな変化を主張するグループと急速な変化を主張するグループがあったようだ。最終的には急速に動くことになった。(2009/6/17/No.152)

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ボロボロの郵政民営化に固執するということは?

  日本郵政の西川善文社長の取締役再任を拒んでいた鳩山邦夫総務相が12日辞任した。事実上の更迭だという(6/12/NIKKEI NET)。

 盟友と言われる鳩山邦夫総務相を切ってまで西川善文社長の再任を選んだ麻生首相、一度は郵政民営化に賛成ではなかったと表明したこともあったが、結局は郵政民営化路線を選んだということか。

 その背景には05年の総選挙で自民・公明連合に圧倒的支持を与えた民意に逆らって改革を後退させるのかという圧力に抗し切れなかったという事情があるようだ。

 しかし05年の総選挙の時点で昨年のリーマンショック以来の「100年に1度の金融危機」の危険性に警鐘を鳴らした人がどのくらいいただろうか。当時、民営化、民営化と“はしゃぎまくった”連中の“懺悔の弁”がどのくらいなされたというのだろう。この問題は本質的な危機ではなくて一時的ないつかは回復する危機に過ぎないとの居直りが続いている状態ではないか。

 郵政民営化の目的にはいろいろなことが言われている。しかし民間企業として全国一律料金制の郵便事業に最大の魅力を感じる企業がどれだけあるだろうか。そうではないだろう。民間企業にとって最大の魅力は郵貯・簡保で300兆円とも400兆円とも言われた金融部門だろう。この資金は昔は旧大蔵省の資金運用部というところで運用されていた。そのことから族議員のカモにもされてきたはずだ。それに対して「改革」民営化論者から「塩漬け」論が出てきた。この膨大な資金を民間で活用すればはるかに有益な結果をもたらすというわけだ。もしリーマンショックがなかったらその運用先としてアメリカの証券、債権、株、原油、穀物、等々、バブルにまみれた世界につぎ込まれていただろう。もし民営化会社が株式を上場したらアメリカの巨大金融のカモにされていたかもしれない。そうなる前にリーマンショックが起きて郵貯・簡保の巨大資金は助かったのだ。

 西川善文社長には「かんぽの宿」を“仲間”のオリックスの宮内義彦会長が率いるオリックス不動産にたたき売ったり、また不動産の売却や「ゆうちょ銀行」のカード委託業務などで出身母体である三井住友銀行関連の会社が優遇されたり等々といろいろな疑惑があるそうだ(6/13/「しんぶん赤旗」=共産党HP)。

 郵政民営化とは自民党を中心とする族議員の利権の場から民間大企業集団の利権の場に変えたに過ぎない。今回の麻生首相の盟友鳩山邦夫総務相切り、西川善文社長の再任とはあくまでも「カジノ資本主義」の構造を維持してその復活をはかろうとする大企業集団の利権の構造を追認したということだ。(2009/6/13/No.151)

 

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麻生首相が日本の資本主義はマルクスの「わが亡き後に洪水よ来たれ」だと証明してしまった。

  麻生総理大臣が、西暦2020年までの温室効果ガス削減の中期目標について、「2005年に比べて15%削減」を目指すことを明らかにした(6/10/19:41/NHK HP)。「2005年に比べて4%削減することを目指すべきだとする案が経済界などから出された」が「『低炭素革命で世界をリードするためには一歩前に出て、倍の努力を払う覚悟を持つべきだ』」と言うのである(NHK 前同)。

 「低炭素革命で世界をリードする」としたわりには世界の評価は余りかんばしくない。「世界有数の環境NGO、WWF・世界自然保護基金の温暖化問題担当者は『日本は国内で排出削減を進める意欲も、温室効果ガスの削減を目指す国際交渉で、リーダーシップを発揮しようという意欲もないことがわかった』と述べ」たという(6/11/7:1/NHK HP)。

 それはそうなのである。日本が議長国としてまとめた京都議定書では「08~12年期に90年比6%減」というのが日本に課せられたの目標なのである(6/11/「しんぶん赤旗」=共産党HP)。

 今回の目標はその90年比にすると8%なのだという(「赤旗」前同)。90年比にすると8%減が05年比にすると15%減となるということは05年までは削減どころか増えているということになる。でないとこういう数字にはならない。ましてや経済界から出された「2005年に比べて4%削減する」という提案では議長国としてまとめた「90年比6%減」の京都議定書すらまるでほごにする提案だと言わざるを得ない。さすがに国際社会の前でそれはできなかった。90年比8%減も提案することができなかった。そこで数字を大きく見せるために2005年比で15%削減という数字が出てきたのだろう。

 なぜこういう提案になったのか。「国民生活や産業活動に対する負担の大きさを示すことなく、削減量が大きいほどいいという精神論を繰り返すことは無責任だ」という考えがあるのだという(NHK 前同)。。
 すでに北極の氷が解けているとかヒマラヤの氷河が消えているとか、太平洋上の島国が水没する可能性があるとか報道されている。日本でも愛媛みかんが愛媛ではつくれなくなり、青森りんごが北海道に北上するとかの予測が報道されている。このまま進めば「国民生活や産業活動に対する負担の大きさ」どころか破局だ。

 この問題は破局を防ぐためにはどうあるべきかという立場で考えを出発させるべきであって、今現在の「国民生活や産業活動に対する負担の大きさ」から出発すべきではない。

 麻生首相の提案は、基本的には今の生活を守るためには後世の事はどうなってもいいという経済界(日本資本主義)の意向を受けたもので「わが亡き後に洪水よ来たれ」というマルクスの指摘の正しさを証明してしまったのではないか。でもその時は月に移住が始まっているからだいじょうぶとでも言うのだろうか。せいぜい国際社会でひんしゅくをかわないでほしいものだ。(2009/6/11/No.150)

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原爆の後遺症ではないとしりぞけられながらの戦後64年

 舛添厚生労働大臣は、原爆症の認定をめぐり、国の基準に含まれない原告10人を原爆症と認めた先月の東京高等裁判所の判決を受け入れ、最高裁判所に上告しないことを明らかにした(6/9/12:32/NHK HP)。

 日本にアメリカの原爆が落とされたのは1945年(昭和20年)。今年で64年がたつ。この長い年月がたってどうにか解決しそうな状況になってきた。相次ぐ提訴で連敗を喫し、もうこれ以上政府には勝ち目がないという状況になっての末のことだ。

 政府はこれまで原爆症の認定をできるだけ狭い範囲に限定してきた。本音はこういうことにはおカネを使いたくないということからだろう。でも表向きは広い範囲に拡大したらカネ欲しさに自分も原爆症だと騙る人が出てきたりして不公平感が生じるなどの理由をつけてきたのではないか。

 生活保護では仕事をしようともしないで怠けている人が受けている。雇用保険(旧失業保険)では仕事も探さないで怠けている人が受けている。というのが削減の理由になっている。“まっとうに”働いている人達に不公平感を与えないようにと。

 すべては棄民政策によるものではないか。現在の「派遣切り」「期間工切り」もすべてその延長ではないか。湯水のような税金の無駄遣いにはハラを立てながらも慣れっこになる一方で、強きにやさしく弱きに厳しくの日本がそこに存在していないか?(2009/6/9/No.149)

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昔、努力した人が報われる社会へ、今、努力した人が生き残れる社会へ、か

  ここ何年か、淘汰ということばを聞く機会が多かった。最初は努力した人と努力しなかった人が同じように扱われるのはおかしい。努力した人が報われる社会を目指そう。その結果として努力しなかった人は淘汰されますよ、ということだった。

 しかしここ何年かの経緯を見ればこの筋立てはまやかしだったことがわかる。正確には報われた人が努力した人だったと思わされた。

 たとえば崩壊した金融バブルの中で円キャリー取引というのがあった。日本国内の超低金利と円安ドル高を利用した取引。利息のほとんど付かないただ同然の円資金を借りてドル資産に換金する。極端な話、昨日100円を1ドルに換金して今日1ドル110円にドル高(円安)になったところで円に換金し戻せば昨日100円だったものが一夜にして110円になって10円の儲けとなる。

 昔ながらの日本人には努力ということばにはコツコツとということばが結びつく。しかしこの何年かの社会はカネの運用(転がし)しだいで一夜にして“努力”が報われる社会だった。

 アメリカのバブルが崩壊して世の中さま変わった。日本の社会では今、弁当競争というのがあるそうだ。「県内のスーパーで弁当の安売り競争が加速している」「総菜コーナーには200円台が続々と登場」「大手の持ち帰り弁当チェーンも値下げに動いており、スーパーの弁当安売り競争はまだ続きそうだ」(2009/05/13付 西日本新聞朝刊=同HP=google)。

 スーパーなどでは客寄せの目玉商品として安売りをしている所があるようだが、弁当専門店がこの値段でやっていけるのだろうか。ましてやまだまだ競争が続くという。もはやこの業界では努力した人が報われる社会ではない。努力した人がやっと生きていける社会だ。まさに淘汰あるのみの社会だ。そしてその淘汰の具体化として企業防衛、リストラが繰り返される。ほかの業界でもにたりよったりだろう。雇用不安、将来不安、社会不安、生活防衛、安売り願望の連鎖が続く。(2009/6/6/No.148)

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ゼネラル・モーターズ救済でアメリカはどう変わろうとしているのか?

 米ゼネラル・モーターズ(GM)が1日、負債総額1728億ドル(約16兆4000億円)を抱えて米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請した。(6/1/NIKKEI NET)。

 今後アメリカ政府がおよそ300億ドル、日本円で2兆8000億円余りの金融支援を行い、法的整理を経て設立される新しいGMの株式のおよそ60%を保有して経営陣の一部を選定することになるのだという(6/1/17:10/NHK HP )。

 結局、巨大企業だけは手厚く救済されるという結果になった。「新自由主義」をみずから望み、執拗に規制緩和を要求し、やりたい放題に利益を追求し、みずからの手におさめておきながら失敗すれば巨大だからというだけで公共目的に使われるはずの税金が公共の目的に合致するとして湯水のようにつぎ込まれる。どうにもしっくりしない話だ。

 アメリカ国内でも相変わらず歓迎していない人たちが多いようだ。「最新の世論調査を見ますと、GMを公的資金で救済するのではなく、いっそのこと廃業させてしまった方がよいという厳しい意見が過半数を超えました」(06.02 テレビ東京HP)。

 GM救済にはオバマ大統領の支持基盤である全米自動車労組を救済する目的があるとの批判がある。そういう面からの反対も多いようだが、GM再生のために公的資金をつぎ込んでだれが助かるのか、だれが“得をする”のかという不信感も国民の中には大きくあるということではないか。
 
 一方でこの救済に対して真っ先に歓迎の意を表したのが「マネー資本主義」を“楽しむ”人たちだった。 ニューヨーク株式市場では1日、「市場の懸念材料がふっしょくされたとの見方や景気回復への期待から平均株価は大幅に上昇」「終値は先週末より221ドル11セント高い8721ドル44セント」(6/2/6:26/NHK HP)となった。結局4営業日連日で上昇を続けた。東京株式市場でも2日、「懸念材料が出尽くしたという見方や、景気の底打ちに対する期待感から」26円56銭高い、9704円31銭と、終値としてのことしの最高値を更新し、去年10月7日以来、およそ8か月ぶりの高値水準を記録した(6/2/16:36/NHK HP)。その後も年初来高値を更新している。いずれももうこれ以上悪くなることはない。これからは基本的には上がるだけだ。マネーがマネーを生む時代の再来の期待が広がる。そういえばいつのまにか原油価格(NY=WTI=2日)が68.55ドルまで上昇してきた。「外国為替市場で対主要通貨でのドル売りが加速したことを受け、ドル建てで取引される原油に割安感から」「世界的な景気底入れを見込んで原油相場の先高観が強かった」などの理由からだという(6/3/NIKKEINET)。この世界はどうにも懲りていない。欧米各国は景気刺激策と称して低金利政策を続けている。おそらくその恩恵が相変わらずこの方面に流れているのだろう。

 そもそもGMの破綻には「マネー資本主義」が関係していると指摘されている。株価を上げ続けるためには利益を出し続ける必要がある。そのため多額の投資を必要とする省エネ、環境対策を手抜きしてきたツケが競争力低下となって現われたというわけだ。今後この面での投資は避けられないだろう。そういう意味では「マネー資本主義」の期待には答えられないはずなのだが。 

 今後GMは「60日から90日で裁判所の管理を離れ、経営を再建する」(GM=ゼネラル・モーターズのヘンダーソンCEO・最高経営責任者)(6/2/5:30/NHK HP)ために大規模なリストラが必要だという。現実問題として「年末までに事務系社員を22パーセント削減」する (6/2/5:30/NHK HP)。「現在46あるアメリカ国内の工場のうち13の工場を順次閉鎖」する(6/2/9:5/NHK HP)。「販売店を4割減らす方針を明らかにしてい」る(06.02 テレビ東京HP)。という具合だ。

 ということは、アメリカ国内の33の工場は残る。事務系職員の78%は残る。販売店の6割も残るということだ。アメリカ経済を壊滅的打撃から救うためにはある種の人々に“痛みに耐えてもらって”とはどこかで聞いたシナリオだ。富裕層と中間層を維持できれば国の体制はなんとか維持できるということだろう。

 オバマ大統領は「新生GMは再びアメリカ成功の象徴になることができる」と強調したという(06.02 テレビ東京HP)。おそらく今後のGMはトヨタ型の企業を目指すことになるだろう。技術革新、とりわけ省エネ、環境対策に関する投資は避けて通れないだろう。そのかわり社員に対する手厚い保護は削られていくだろう。トヨタは国内に絶大な市場を持つ必要はなかった。アメリカを中心とする海外の市場を目指せばよかった。だから非正規社員の導入など国内ではコストを徹底的に削って競争力をつけた。GMもそういう道を歩むことになるだろう。

 しかしそれでアメリカという国はどうなる?今の金融・経済危機が起きる前の日本では輸出大企業を中心に「史上最高益」を5年くらい繰り返した。しかしコスト削減をはかって国際競争力をつけて海外で稼ぎまくる体制だから国内では「実感なき景気回復」と言われた。新生GMもコスト削減に努めて競争力に打ち勝とうとするだろう。しかし金融・経済危機から抜け出すために企業再建をはかる、その企業再建のために“痛みに耐えてもらう”人々を放出する。バブルのはじけたアメリカでそれで国内購買力が保障できるか。結局トヨタがやったように海外に活路を見出すしかなくなるだろう。具体的には中国中心のアジア諸国ということになる。しかし国内需要が冷えた欧米、日本の企業が押し寄せて中国の内需が維持できるのか。もし維持するとしたら中国もまたとてつもないバブルの時代にのめりこむしかなくなるのではないか。国際競争力を突き詰めるあまりに自国の市場を冷やしていく。かりに「新生GMは再びアメリカ成功の象徴になることができ」たとしても世界の投資マネーが湯水のように集まるアメリカの復活はないだろうと思う。(2009/6/4/No.147)

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